合資会社 ホクトプロジェクツ と申します

 

  ホンモノにこだわったブルーベリージャムが主力製品のジャム屋です

 

ジャム屋を始めて20年ほど経ちました

ジャムについていろいろ知ることが出来ました

自ら手作りすることで初めて分かることもありました

街にはマガイモノとしかいいようのないジャムがあふれています

以下の記述は皆様方が最高級品のジャムを選ぶ上でのヒントにもなるはずです

 

ジャム好きの方々には長文ですがご一読をお勧めします

目からウロコのジャムに関する情報もあるはずです

少なくとも昨今の市販の一般品のジャムの本来のジャムとの違いはお分かり頂けます

 

ジャム製造業者が事業者として利益第一主義に走るのは当然ですが、

市販の一般品の多くのジャムが

ジャムの市販価格相場が崩れたままで低価格で売り続けるしかなかった何十年もの間

その市場での競争に勝ち残るために原料と製造のコスト削減を強いられたため

高価な原料果実節約のため、ジャム製造業者によっては、何やら安いものを混ぜたり

美味しさを損なう懸念のある製造手法を採るなどで低品質化が進み、低品質が業界標準のようになり

伝統的な本来のジャムをホンモノとしたら、マガイモノとしかいえないようになってしまいました

このままではホンモノのジャムが街から姿を消し、マガイモノしか食べられなくなりそうです

そうなっては寂しいので、当社だけでもと、ホンモノのジャムを20年間作り続けて来ました

来年は85歳、あと何年作れますか?

最高品質のジャムは昔ながらの手法を駆使した手作りでないと作れません

一流の板前が作る一流の高級和料理のように工業的大量生産は不可能と20年の経験から知りました

 

 

 みのもんたの「思いっきりテレビ」で、2003年頃に目によいという「アントシアニン」という機能性成分を多く含むブルーベリー果実が原料のジャムが紹介された際、それ以前からブルーベリージャムを製造・販売していた軽井沢の澤屋さんが紹介されたら、澤屋さんの店にブルーベリージャムを求めて沢山の観光バスで大勢のお客さんが詰め掛け、たちまち、店が手狭になったのか、長野駅前に支店を開設したくらいブルーベリージャムの売れ行きが、物珍しさも手伝ったのか、ものすごく伸びました。それを知って、国内のジャム屋の多くがブルーベリージャムを商品のラインアップに加えたので、多種多様のブルーベリージャムが店頭に並ぶようになり、「ブルーベリージャム・ブーム」といえるほどの状態になりました。

当社でも、創業直後の5年ほどは、このブームのお陰か、売れ行きがよくて、10年も経たない内に消費税免税業者(’当時は年間売上3千万円以下)ではなくなるかもと思ったほどですが、店頭販売をさせて貰った、後記するハーブ園も鴨川シーワールドも観光客相手なので、バブルがはじけたら客足がたちまち減り、売上が落ち、消費税免税業者の年間売上の下限が1千万円に下げられた今も消費税免税業者から抜け出すことができずにいます。

消費税免税業者でも、鍋とか果実や砂糖やビンなどの購入時に消費税を払っているので、お客様に消費税を請求してよいことになっていますが、当社では今後とも消費税は頂戴しない決心です。

 

 なお、国内のジャムの消費量はいちごジャムが昔も今も最多ですが、ブルーベリージャムが普及してからは、ブルーベリージャムが二番手の地位を守り続けています。

 

 当社の代表である私、栗岩常明は、そのずっと前のことですが、長野県最北部の志賀高原の大沼池のほとりに店を出していた茶店で「浅間葡萄液」と称するジュースを飲んで、その美味しさが忘れられず、庭を持ったら浅間葡萄を栽培し、自家製「浅間葡萄液」をふんだんに飲もうと決心しました。

後日調べてみましたら、浅間葡萄とは浅間山の外輪山など火山系の高山に自生する「クロマメノキ」のことで、温暖な低地での栽培は困難と知りましたが、その頃米国から導入され始めたブルーベリーが近縁と分かったので、栽培するのはブルーベリーにすることに決めました。

そんな事情もあって、ブルーベリーのことを調べ、よく知っていたので、その後、いちごジャム以上にブルーベリージャムを購入、常用しておりました。

25年ほど前になりますが、庭で栽培していたブルーベリーの樹になった、ジャム瓶3~4本分のジャムをやっと作れるほどの果実とグラニュー糖だけを原料にして、伝統的な本来のジャムのレシピに従って初めて作ったジャムが、食べてみたところ、それまでに食べた、市販のどのブルーベリージャムよりも、断然美味しいことに気付きました。

当時はジャム作りの素人だった私の作ったジャムの方が、プロが作った市販品よりも美味しいことが不思議で、食品加工の専門家である知人に、どうしてだろうか尋ねたら「日本農林規格があるからさ」のたった一言で片付けられてしまいました。

 そこで、「ジャム類の農林規格」に目を通したら、特級と標準の二つの格付けがあり、標準品では完成したジャムの目方のたった25%以上(現在は35%以上になっている)の果実が使われていれば、その果実のジャムといえることになっているのを知りました。今尚、特級品でさえも45%以上でよいのですから、どこの国の役人も随分と業者に甘いのだなというのが印象でした。

 なお、完成したジャムの目方に対する使用した果実の割合をジャムの果実含有率と呼びます。

  マゼモノは勿論、添加物も一切加えていない当社のプレミアム・ブルーベリージャムの場合、砂糖が持つ防腐効果を発揮させるには、原料果実の目方の45%以上の砂糖を加える必要がある(不足だと保存料、即ち、防腐剤の添加が必要)と教わったので、アクに混じって一緒に除去される砂糖の分をカバーできるように余裕を持たせて60%にした砂糖…最高品質のジャム用だからと、高級和料理や高級和菓子に欠かせない高級和砂糖のザラメ糖を選択…を加えていますが、計算すると、ジャムの果実含有率は70%を超えます。ということは、ジャムの果実含有率が70%程度以上ないと、何かをマゼモノとして相当の量を加えずには計画した量のジャムにはならないことになります。

標準品では35%以上を求められる現在でも、プレミアム・ブルーベリージャムの使用果実量は農林規格が規定する最低果実含有量の2倍以上に相当しますから、プレミアム・ブルーベリージャムの質は、市販の一般品の工業的大量生産品のブルーベリージャムとは大違いです。

  伝統的な本来のジャムをホンモノとすると、市販の一般的な工業的大量生産品のジャムの多くは、

原料コスト削減のために高価な原料果実使用量節約になる安価なマゼモノの混入を行い、製造コスト削減のために品質を低下させ、美味しさを損ないかねない種々の手法を採っているようなので、美味しさで劣り、品質も低く、概してマガイモノとしかいいようがないようです。

 

 そんなことを知った私は、こんなマガイモノを、ホンモノのジャムと思わされて長年食べさせられたことに怒り心頭、自分で食べる分は伝統的な本来のジャムを、手間暇掛けても手作りで自家製することを決心しました。自家用なら、美味しさを最優先にし、製造コストを無視して最高のホンモノを作れますから。

しかし、どうせ作るなら、友人知人でホンモノを求められる方にも、希望があれば頒布して差し上げようと、同好の士が集まった頒布会の頒布品の製造役になった積もりでホクトプロジェクツを創業し、友人、知人にDM(ダイレクト・メール)を発送し、会員募集をしました。

 

 ところが、当社のあるいすみ市の隣町、大多喜町にある本格的ハーブ園としては日本嚆矢の大多喜ハーブアイランド(現在は経営主体も変わり、大多喜ハーブガーデンと改称)の無農薬農業にこだわる当時の社長に、そこの売店での店頭販売を勧められ、店頭販売と週末や観光シーズン中の試食販売まで行うことになり「ブルーベリージャム頒布会」の頒布品レベルの生産量では間に合わなくなったばかりか、ジャムの種類も増やすことになり、一時期、年間十数種類にも及ぶ、下記のような手作りジャムの製造・販売を行うことになりました。

国産果実ではキウイフルーツ、いちご、夏みかん、ゆず、豊後梅、商品の梅酒の中に残す量を超えて不要になったアルコール漬けの青梅、かりん、プルーン、食用ほおずき。

輸入果実ではマンゴー生果実、生食用冷蔵空路輸入のブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーの生果実。

国産野菜では人参、トマト、野菜とはいえないかも知れませんが、ルバーブ。

ただ、病虫害対策で農薬散布の回数も量も多い葡萄と林檎は用心して除外しました。

 

 試食販売ではお客さんと言葉を交わすことが多く多くのDM通販の顧客を確保できました

こんな状態だったので、結局、頒布会の会員も合わせてDM通販に統一してしまいました。

 

 ハーブ園に留まらず、海獣のシャチのショーで有名な鴨川シーワールドの売店を初め、都心と千葉の幾つもの百貨店の催事などでの試食販売の他、百貨店「プランタン銀座」の地下食品売場では、営業方針が変わって食品売場が廃止されるまでの数年間、店頭販売も、3ヶ月に一度程度の3~5日間に及ぶ不定期の試食販売も続けました。経費倒れでしたが。

 なお、当社のジャムのブランドを「こだわりのコンフィチュール(フランス語のジャム)」としているのは、「プランタン銀座」がパリの老舗百貨店「プランタン」と関わりがあったことから、フランス語の使用を望まれたからです。

 

 現在のプレミアム・ブルーベリージャムに及びも付かない品質の初期に作ったブルーベリージャムでさえ「おたくのブルーベリージャムを食べると、よそのものは食べられない」と大好評だったのですから、よそのジャムがどんなものだったか分かりませんが、初期のものとは違い意識的に最高品質を目指して作っている、プレミアム・ブルーベリージャムは、ブルーベリージャムの最高品質品として、ホンモノにこだわる方にもご満足頂けると信じています。

ただ、露地栽培のブルーベリーは天候に直接影響され、毎年同じ出来は望めません。

一時、ワインのヴィンテージのように、出来のよい生産年のものを高値で売ろうかと思いましたが、実行に至っておりません。

なお、プレミアム・ブルーベリージャムも、ラベルに記載する賞味期限を、他社製品と余り違わないように「2年半」ほどにしてありますが、創業頃5年間製品を保存しておいて、毎年試食して品質の経年変化をチェックしてみましたが、変わらないどころか、熟成してまろやかになったのを感じたくらいで、ホンモノのジャムはワイン同様賞味期限を決めなくてもよいのではと思っています。

人工甘味料では駄目ですが、蔗糖や甜菜糖といったホンモノの砂糖を果実の目方の45%以上使ってあれば、ジャムは防腐効果が働いて腐敗しないといわれています。

ヨーロッパで見付かった旧石器時代人の遺物の中に果実とハチミツ(当時は砂糖がなかった)でできたジャム様のものがあったそうですが、腐敗していなかったからこそ、果実とハチミツだと分かったのでしょう。

 

 さて、「ジャム類の農林規格」は、ジャムの後進国である日本の農水省が当然ながら自主的に作ったものではありません。歴としたお手本があり、果実含有率の規定の数値は、何回改訂されようと、常にお手本に倣っています。

そのお手本は、日本も加盟している、一般に「コーデックス委員会」と呼ばれる、飢餓の撲滅を世界の食料生産と分配の改善と生活向上を通して達成するのを目的とする国際連合の専門機関の一つである「国際連合食糧農業機関(FAO)」傘下の「国際食品規格委員会」が作った「食品の国際規格・基準」です。

これらには、二つのタイプがあります。

一つは、農畜産物の生産段階から食卓に並ぶまで、全ての段階で守られるべき安全に関する基準です。

即ち、消費者の健康を保護することを目的に世界で流通する食品の安全を確保するための基準です。

もう一つは、公正な貿易促進のための食品の品質に関する規格です。品質の均一化が狙いでしょう。

これらを下敷きにしているのですから、「ジャム類の農林規格」も、これよりは落としてはならないジャムの最低級品の規格・基準を示すものになっています。

ただ、国が発布した、このようなものを権威あるものと信じて疑わないジャム屋も多いはずで、内容の吟味もせずに、これに従って作ったものは「国が認めているのだから、どこへ出しても恥ずかしくない一流のもの」と誤解されがちです。

少なくとも、これらは、何百年も掛けて大勢の人々の工夫と努力で磨き上げられた最高の美味しさを後世に伝えるためにはジャムはかくあらねばならないとして、伝統的な優れた食文化を維持し、向上に繋げるための規格・基準ではありません。

この「食品の国際規格・基準」を見る限り、「国際食品規格委員会」は、ジャムにマゼモノをするのを現在の常識と見て、マガイモノ化していることを当然と受け容れているようですから頂けません。

 それなのに、不思議なことに、マゼモノについては「食品の国際規格・基準」でも一切触れておらず、規格も基準も存在しないので、何を使うかもジャム製造業者の自由裁量で決められます。

これらは、当然、日本農林規格にも引き継がれています。ビンに貼るラベルに、マゼモノとして、何をどれだけ混ぜたかを記載することも、ジャム製造業者に義務付けられてもいない野放し状態です。

消費者は、おかしなマゼモノが使われないことを、ジャム製造業者の良心に頼むだけです。

 

 実際、マゼモノとして何が混ぜられているのかを、上記食品加工の専門家に尋ねたところ、25年ほど前のことで、今では変わっているかも知れませんが、人間は変わっていないのですから大差はないはずですが;

●最も一般的なのはいちごジャムの場合の林檎…とはいえ、廃棄物にするしかない台風による落ち林檎などのタダより安いものです。林檎産地に台風が向うと知ると、何時でも出発出来るようにトラックを待機させ、ある産地に台風が確実に襲うとなると、そこにトラックをいち早く急行させ、落ち林檎を早い者勝ちで持ち帰る業者もいるそうです。

なお、林檎には、ジャムのゲル化(ゼリー状にすること)を促進するペクチンが多量に含まれるので、昔からペクチン含有量が乏しいいちごに林檎を混ぜることは、普通に行われていました。

ブルーベリージャム の場合は葡萄と葡萄果汁…国産ブルーベリー生果実の価格は、房に着いている、多数の実が一斉に熟し、房単位で収穫出来る葡萄とは異なり、枝の同じ場所に数粒集まって着いていようと、同時に熟すことなく、順次一粒ずつ熟すので、熟度を確かめて摘む収獲は手間暇が掛かってしまうので、人件費が高い日本では、各種ジャム用生果実の中では最高額品の部類に入ります。

それで、市販の一般品のジャムでは、その使用量を節約してコスト削減に資するように、マゼモノをするのが、当たり前になっているようです。 

 マゼモノ混入以外のもう一つの原料コスト削減法として、ブルーベリージャムの国内製造業者の間に広く普及しているのは、原料果実に、米国産が主流のようですが、輸入冷凍ものを使う手です。

現在の冷凍ブルーベリーの価格は調べていませんが、25年ほど前、前出の食品加工の専門家に教えてもらった価格はキロ300円前後でした。当時、国産ブルーベリー生果実が、農協から購入しても今と変わらず運賃別でキロ1,500円前後で、大差があるので、まともなジャム製造業者なら消費者にクレームされずに購入してもらえる限り製品コストを考えて輸入冷凍ものを使うのは当然です。

毎春、幕張メッセで開催される、国際食料・飲料展(フーデックス)で、偶々言葉を交わした長野県のジャム製造業者の話では、ブルーベリーの主要産地の長野県産のブルーベリージャムのほとんどが、輸入冷凍もののブルーベリーを原料にしているそうです。当社でも輸入冷凍ものを使えば、儲かるのにという忠告だったのかも知れません。

ブルーベリー生果実以外の国産のジャム原料の生果実は、栽培農家から直接大量に纏めて購入すれば、キロ200~300円くらいなのに、それらを原料にしたジャムに比べて数倍の価格の原料を使っているからといって、ブルーベリージャムの店頭価格を原料価格に見合ったものにしたら、その辺の事情をご存じないお客様は、その高価格に驚かれ、購入されるはずがないので、輸入冷凍ものを一般のジャム製造業者が使うのは無理もありません。

 なお、当社は、創業以来、年数回のDMを通じて通販のお客様には、当社のブルーベリージャムと市販の一般品のブルーベリージャムとの仕様上の差異をご説明し続けて来たので、その価格差はご理解頂いているようです。

 さらに、もう一つの大きな理由は、国産生鮮生果実を原料にすると、ブルーベリーの場合、早生と晩生の品種を上手く組み合わせても年間3~4ヶ月しか続かない収獲期間中しかジャム製造ができないのですから、工場と従業員の稼働率を考えたら、年中何時でも好きな時に、好きなだけの量の原料が手に入れられ、しかも、安いのですから、国産生鮮生果実には、品質面以外では、輸入冷凍ものに勝てる理由はありません。

 それでも、当社は、品質を売り物にしているので、輸入冷凍ものは決して使わずに来ました。

そんな道楽のようなことをしていたら儲かるわけがないと友人に言われながら。

 

 

伝統的な本来のジャムのたどった道

こんなことも、ご参考まで

 

1.なぜ、伝統的な本来のジャムが街から消え、工業的大量生産品のジャムばかりになったのか?

 

 2~3百年前、砂糖黍から採った蔗糖、純糖とも呼ばれる砂糖類の代表である砂糖が、ブラジルやカリブ海の島々で奴隷労働によって大量生産されて、王侯貴族でなくても手が出せるほど安くなった結果、果実と砂糖だけを原料にした近代西洋型のジャムの原型が確立したようです。

しかも、このジャムは、庭や近隣の野山で採って来た果実と砂糖だけを原料にして、家庭で自家用として家族に食べさせるために自家製するのが普通でした。

家族に美味しいと喜んで貰うために、労を厭わず、手間暇掛けて最高に美味しくなるように作ったはずで、原料コスト削減のため、品質低下を招きかねない安いマゼモノをしたり、製造コスト削減のため、雑味が残ったり、果実の水洗いで除去仕切れなかった異物が残存しかねないのに、消泡剤を添加するだけで、アク取りを省略することなど思いもよらなかったはずです。

しかも、ジャムをより美味しくする効果はなく、大量生産をしやすくするなどで、ジャム製造業者を利するだけの、昨今多用される食品添加物も出現前でしたから、原料果実と砂糖以外、何ものも混ぜるわけがありません。

今でも、ジャムと聞けば、どなたも、果実と砂糖だけを鍋などに入れ、加熱して煮詰めて、ゲル化(ジェリー状になること)させた、この近代西洋型のジャムをイメージなさるはずですが、これこそが、伝統的な本来のジャムで、ホンモノのジャムといえます。

 ところが、産業革命の結果、鉱工業地帯や都市で暮らす人口が激増したことから、ジャムを作れない家庭が多くなり、ジャムの製造販売が商売になるようになりました。

商売ともなると利益を上げなくてはなりませんが、低付加価値の加工食品の代表のようなジャムは、大量生産・大量販売をしなくては期待した額の利益が得られないので、機械化による工業的大量生産を行うしかありません。

工業的大量生産は、均質な製品を、均質な原料を加工して作るのには理想的ですが、原料果実は一個一個、一粒一粒が異なる個性を持つ果実の集合体ですから不均質であって当然の原料果実を加工して生産するジャム作りには本質的に不向きです。

しかし、ほとんどの商品が工業製品化した今日、同一ブランドの商品は、ジャムでさえ、何時どこで入手しても、色や固まり方などの見掛けも、味や香りや、口当たりや舌触りなどの食感も同一でないと「どこか変だ」と感じる人が多くなっています。

それやこれやで、市販の一般品のジャムは、同一ブランドでは一見均質に見える大量生産品でないと、一般の消費者には売り難くくなったこともあり、工業的大量生産品の均質風のジャムが、ジャム市場を席捲してしまったようです。

 

2.市販の一般品の工業的大量生産品のジャムの低質化

 

 市販の一般品のジャムのビンに貼ってあるラベルに記載されている原料の欄を、じっくりとご覧になったことがありますか?

ブルーベリージャムのラベルだけをご覧になっても、普通、下記のような記載があります。

 「原料:ブルーベリー、砂糖、ゲル化剤(ペクチン)、酸味料(レモン果汁やクエン酸)」とあるのが大部分ですが、その他にリンゴ、ハチミツ、ブランディ等々と付記されたものもあります。

ブルーベリーと砂糖以外はジャムを均質に見せ掛けるために加えるらしく、本来のジャム以上に美味しさを増す効果は期待できません。レモン果汁、リンゴ、ハチミツ、ブランディなどの品質は、ピンからキリで、低品質の安ものだと、混ぜるだけでジャム全体の質を下げ、美味しさを損ないます。

 街の果物屋さんの店頭に「ジャム用いちご」などと書かれた「安売りのいちご」を目にされた方は多いと思います。

これをご覧になると、いちごジャムの原料は商品としては売れない、廃棄直前の低質のいちごなのだと思い込まれた方も多いと思います。

ところが、料理の良さは原料の良さが制します。加工食品だって料理です。ジャムだとて、原料果実が一流でなければ、一流のものにはなり得ません。

 ジャム屋を始めて間もなく、ハーブ園は集客のためいちご狩り用のいちご育成用のビニールハウスを10棟ほども建て、いちごの栽培を始めました。社長の意向で、完全無農薬栽培でした。

それを知った、近在の農業知識のある人たちは、いちごの無農薬栽培などできるはずがないといっているのが、私の耳にも入りました。

しかし、その年末頃からいちご狩りができるようになりましたが、そのいちごは素晴らしく美味しく、大粒でした。特別の優良品種ではなく、一般的な品種でしたが。

いちご狩りは、客が来なくては、熟したいちごが残ってしまい、熟した実は、実の先端から熟れ過ぎて黒く変色して行きます。翌日には捨てるしかなくなります。

それで、完熟している実を、客が帰った夕方、全量摘んで、当社に届けられました。多い日は物凄い量になりましたが、時々刻々黒くなり、ジャムにしても黒いままなので、黒い部分は取り除きながら、その日の内に夜中まで掛けてもジャムにしなくてはならず、年末から春に掛けて大変でした。

しかし、そのいちごより美味しいいちごには今日まで出会えません。そのいちごを原料にしたいちごジャムより美味しいジャムにも出会えておりません。品種には関係なく、美味しさは栽培法次第なのかと思いました。勿論、完熟果が最高です。

でも、5月の収獲末期になると、うどんこ病という病気が出始め、夏にかけて、ハウスの中の培養土の殺菌などの予防対策をしたようですが、翌年からは無農薬栽培を諦めるしかなかったようです。

結局、最高のジャムは最高の原料果実を使用しなくては、作れないことを身を以て知りました。

 製造法でも、ジャム製造業者全てではないでしょうが、工業的大量生産では、ジャムを煮詰めるのに減圧釜が使う例が、当社の創業の頃は多かったようです。減圧釜は密閉容器で、中の空気を抜いて釜の中の圧力を下げて、常圧での水の沸騰点100度より低い温度で沸騰させ、水分を蒸発させることで、加熱温度を低くでき、燃料が節約できることで、製造コスト削減に役立つ手法です。

ただ、減圧釜は密閉容器で、稼働中釜の中に手を入れられず、手作業でのアク取りは不可能です。 

ブルーベリージャムは煮立って来ると他の品種のジャムでは見られないほど多量のピンク色のアクが浮き上がって来ます。アクはジャムを濁らせたり、雑味の原因にもなりかねず、果実を水洗いした際に残った微細な異物を含む可能性もあり、手作業で徹底的に掬って取り除くのが本来の手法です。

アクは微細な泡の集まりなので、消泡剤を添加して消すというより、見えなくするようです。

小規模なパン屋さんが、ジャムパン用のジャムを手作りする際、誰にとってもアク取りは手間ですから、消泡剤代わりにサラダ油を数滴垂らすことで間に合わせるよと、親切心で教えてくれましたが、当社の方針に合わないので、実行はしませんでした。

兎に角、ジャム製造業者は、当然ですが、考えつく限りのコストダウンの手を製造でも使います。

例え、品質維持のために問題があっても。

コストに見合った価格で売れるようにジャムの市販価格相場を立ち直らせない限り、市販の一般品の工業的大量生産品のジャムの低質化は止むことがなさそうです。 

 

3.「最高級品のジャム」の定義

 

 最高品質を目指して、ジャムを作っていますと、当社の作ったジャムが、世界中の数多のジャムの中で、どの辺りに位置付けされるのかが分かる「ジャムの格付け」の定義が知りたくなって、世界に通用する最高級品のジャムの定義を探しておりました。

 30年ほど前、ワインの輸送のことを調べていて、ワインならフランスと思って、事典類の出版で有名なラ・ルース社の「食品大百科辞典」が役立ったことを思い出し、国会図書館で調べたところ、その本は消えていましたが、「料理大百科事典」があり、調べたところ、「コンフィチュール」の項に、フランスでのジャムの法律的定義が引用されていました。

20世紀初頭、1925年(大正14年)9月25日に発布されたジャムの格付けを含む法律的定義を定めた政令です。「純正果実と純糖だけでできたものを最高級品」と定義付けています。

当時、既にジャムの工業製品化が進んでいたはずで、工業製品化が招きかねないジャムの低品質化に危機感を抱いていたフランスの官僚が、歯止めを掛けようとして作った政令のように思えます。

ただ、これは原料果実の完熟度や鮮度には触れていません。

本来のジャムが、自家用に自家製することからスタートしていて、原料果実は遠方から取り寄せるものではなく、近隣で採った果実を使うのが普通で、完熟度も鮮度もよくて当然で、問題外だったので触れなかったと想像します。

当社が原料にするブルーベリー生果実は、長野県は北陸新幹線の長野駅から一つ目の新潟県境の山裾の飯山駅からクルマで10分程度の栽培農家からクール宅急便で送ってもらっていて、収獲した翌々日の早朝当社に到着しますが、その日の内に加工し、鮮度低下による悪影響を避けています。

 この政令では、いちごジャムを例にしていますが;

「純正果実」と「純糖」だけで出来ているものが「最高級品」

「純正果実」と「林檎」と「純糖」だけで出来ているものが「良質品」…いちごが「林檎」より多い

「林檎」と「純正果実」と「純糖」だけで出来ているものが「普通品」…「林檎」がいちごより多い

これらの「純糖」を「純糖類似品」…今なら異性化糖?…や人工香料、人工着色料、人工ゼリーなどが加えられたら「低級品」に格付けされる、かなり厳しいものです。

即ち、「純正果実」と「純糖」以外に、何か混ぜたら、「最高級品」ではなくなってしまいます。

 完熟度については、農協がブルーベリー栽培農家に納入させて、市場に出荷したり、個人顧客にジャム原料として直送するものは、農協が栽培農家に、「果実に赤味がある内に採れ」と指導していると聞いております。これは、未熟の内に採れといっているのと同じです。

近くの梨農園の小母さんの話では、梨でも市場に出すものは、完熟する前に出荷するように指導されているそうで、どんな果物でも市場に出すものは、売り切る前に傷まない対策として未熟な内に出荷するのは常識のようです。当地の梨園の小母さんも梨でも同じだと言っていました。完璧に美味しい果物が果物屋さんで売られていないのは、今の果物の流通システムでは止むを得ないようです。

他の果実で樹上完熟果だけを出荷したら、熟れ過ぎで傷んで捨てるものが多すぎて、流通業者は破産してしまうでしょう。

ブルーベリー生果実は、当方の経験では、どこかに僅かでも赤味が見られたら未熟といえます。

例えば、果皮が真っ黒に見えても、よくよく見て黒の中に赤味が潜んでいるものは未熟果です。

ブルーベリー生果実を加工のために鍋に入れる前に、当方では水洗いをしますが、未熟果は完熟果より比重が小さいのか、洗い桶の中で浮き上がって来ますから、取り除きます。

水洗いして塵埃とかヘタなどを取り除いたブルーベリー生果実を、鍋、当社では、鍋の中のジャムの温度に場所によるばらつきが少ない3ミリ半の厚さの鋳鉄のホーロー鍋で煮ますが、煮立って来ると、果皮が赤くなった果実が浮き上がって来ます。その果皮は強くて煮解けませんが、創業初期の頃は攪拌用のヘラで潰したりしてジャム内に留めました。しかし、それらは果皮が丈夫な未熟果なので、今はケチをせず、取り除いてしまいます。

送られてきたジャム原料のブルーベリー生果実の中の未熟果ゼロが理想ですが、数年以上前から特定のブルーベリー栽培農家に、農協納入分より高めの価格で未熟果ゼロのブルーベリー生果実を納入して貰うことにしていますが、どうしても3%前後の未熟果の混入は避けられません。

 プレミアム・ブルーベリージャムの原料果実には、美味しさも、目によいとされるアントシアニンの量も質も最高の樹の上で、なったまま完熟したブルーベリー生果実、「ブルーベリー樹上完熟果」だけを摘み取って貰うことを理想にして、栽培農家に御願いしていますが、未だに不完全です。

なお、ホーロー鍋で煮詰めるのは、高温下で果実が含む酸に触れようと何も溶け出さないからです。工場生産で多用されるステンレス製容器よりも優れているはずです。土鍋もよいのですが、壊れやすいので、少量生産の当社でも使用は無理のようです。

アク取りも徹底的に行います。これがプレミアム・ブルーベリージャム作りでは、時間も掛かるので、ブルーベリージャム作りでは一番大変な作業です。でも、品質を高めるには不可欠な作業です。

                                           以上